今春の展覧会は「お庭」がテーマ、展示作品の多くに可愛いお花が描かれていて、
ギャラリーの中は言葉そのままに、とっても「はなやか」です。
春になって庭に花が咲きだすと、私の心はどうしてこう散漫になるのであろうか。
素どおしのガラス戸から、やわらかい緑や花の色が見えると、
もう私は仕事どころではなくなり、すぐ庭にでてしまう。 ― いわさきちひろ 1971年 ー
ちひろが22年間を過ごした練馬区下石神井の自宅の庭には、40種類もの植物が植えられていました。
チューリップやパンジーなど季節の花が彩る花壇、ツルバラのからむバラ棚やフジ棚があり、
春には足元にピンクと白のシバザクラや濃い紫のスミレが可憐な花を咲かせました。
ちひろは、自ら丹精して草花や樹木を育て、アトリエや食卓にも花を飾って楽しんだといいます。
花を愛するくらしぶりは、種苗屋に生まれ博物(生物)と家事の教師で園芸好きだった
母・文江の影響もあったのでしょう。
庭はまた、幼い息子の格好の遊び場でした。
身近な草花や子どもたちは、ちひろの絵のイメージの源泉となり、作品のなかに登場しています。
本展では、四季を彩る草花を描いた作品をピエゾグラフで展示するほか、
写真や資料からちひろの庭のようすも紹介します。
また、今回は「北陸新幹線延伸・越前たけふ駅開業記念 特別企画」として、
展示作品にもある「はなぐるま」をイメージしたお花のディスプレイを中庭に設けました
ご来館いただいた方だけのフォトスポットとしても、ぴったりです!
【ピエゾグラフとは】
ちひろ美術館では、現時点でのちひろの作品の色合いや風合いをデジタル情報として保存し、最新技術の「ピエゾグラフ」という方法によ
るデジタルアーカイブと「ピエゾグラフ作品」としての複製に取り組んでいます。耐光性のある微小インクドットによる精巧な画像表現は、
繊細な水彩画の再現性を飛躍的に高め、明るい光のもとでの絵の鑑賞を可能にしました。
【過去の展覧会】
「ちひろの生まれた家」記念館の過去の展覧会は、
リンク先「インターネットミュージアム」サイトの当館のページより、
「このミュージアムの過去の展覧会・イベント一覧を見る」をご覧ください。